中切り(餅投げ)
この舞は、他の舞に比べ一寸異色な感じで、本来は神楽全編の中間で舞う息抜き的なものであったのですが、投げ物があるために、現在では神楽の終盤に舞いようにしています。
始めにお爺さん(倉稲魂命 :うがのみたまのみこと)が鍬を担いで登場し、次におとうか(狐)の姿をした保食神(うけもちのかみ)が枡と鈴を持って登場し、お爺さんから鍬を受け取って田造りの舞をし、そこにお爺さんが種を播き、先に退場します。
おとうかが田を見回っていると、赤鬼(専女神:とうめのかみ)が登場して邪魔をします。おとうかは赤鬼と餅つきをすることとなりますが、赤鬼がふざけて餅を臼の外へ放り投げてばかりいるので、隙を見て赤鬼を杵で懲らしめて気絶させてしまします。
気絶した赤鬼の息を吹き返させるために、おとうかはとても大きくて太い注射針を、赤鬼のお腹の真ん中に打ち込みます。すると赤鬼は息を吹き返すのですが、今度は注射針が抜けなくなってしまいます。この針を抜こうとするところの仕草がとても滑稽です。
針がどうしても抜けないので、おとうかは考えた末、つきたての餅を赤鬼の口にくわえさせると、即座に針は抜けてしまします。この後、この餅が皆様に投げ与えられます。
この舞に登場する神様には皆それぞれ御神徳があり、倉稲魂命と保食神は共に五穀豊穣と福の神であり、専女神は害虫や病気を除ける神様です。したがって、この中切の舞も、殖産と繁栄の神様でである訳で、この投げ餅を子宝に恵まれない人がいただくと、たちまち子宝に恵まれると言い伝えられています。
出囃子 ちゃかどん
舞囃子 しょうでん
入囃子(餅投げ) 屋台囃子