大蛇の舞

大蛇の舞 四座

 

 この神楽は、「古事記」「日本書紀」に記された八岐大蛇(やまたのおろち)退治の神話を基にしています。 

 始めに、お姫様(稲田姫命:いなだひめ)が、登場し、大蛇の生贄(いけにえ)にされるため、舞台の脇に控えます。

 次に、お爺さん(稲田姫命の父である手摩乳神:てなつちのかみ)が登場し、稲田姫命に大蛇を退治する剣を渡します。このとき謡が入ります。

「そもそも吾は出雲の国簸(ひ)の川上に住居をなす、手摩乳とは我が事なり。吾一人の乙女を持ち、其の名を稲田姫と申し、志細あって大蛇のため人身御供に供う。あまり不憫に存じ、天津神、国津神に此の由を申し上げ、如剣の一振を申し下ろしてやる。この剣を持って彼の大蛇を退治せよ。必ずうたがうことなかれ。」

 お爺さんが姫を振り返り振り返り、泣く泣く退場すると、いよいよ大蛇が登場します。

 大蛇は姫を一気に呑み込もうとするのですが、舞台中央に置いてある酒樽に気づき、まずは酒をひと口飲んでからと、酒樽に向かいますが、酒好きのためガブガブと飲んでしまし、酔いつぶれてしまいます。そこに須佐之男命(すさのおのみこと)が登場し、目覚めて姫を呑み込もうとする大蛇と立ち回りを演じ、見事大蛇を退治して姫を救います。

 ここで謡が入ります。

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を(やくもたつ いずもやえがき つまこみに やえがきつくる そのやえがきを)」

 稲田姫が無事に退場した後、須佐之男命が豪快に六法を踏み、退場します。 

 

「古事記」では、大蛇を退治した須佐之男命は稲田姫(古事記では櫛名田姫:くしなだひめ)を妻に迎え、出雲国の須賀に宮を構えて住むこととし、そのときに上記の歌を詠んだとされ、この歌が日本最初の和歌といわれています。

出囃子 稲田姫、手摩乳神 下り破

       大蛇 うすどろ、早笛

 

舞囃子 大蛇 かまくら

 

立回り 早笛

 

入囃子 稲田姫 下り破

    須佐之男命 出羽